日時2024年10月4日(土)日本時間21時〜22時半
参加者現役生
・伊藤慎平(イトウ・シンペイ)
筑波大学→高校教員→FIMBA(University of Liverpool MBA Football Industries)
・杉田響(スギタ・ヒビキ)
青山学院大学(中退)→ University of Arkansas(アメリカ)→ Loughborough University(イギリス)
・水口珠莉 (ミナクチ・ジュリ)
University of Sussex (イギリス) → The Football Business Academy(スイス) 

SPORT GLOBAL事務局
・辻翔子(FIFPRO)オランダ在住
・椙山正弘(アジアサッカー連盟)マレーシア在住
・阿部博一(アジアサッカー連盟)マレーシア在住

企画の概要説明

SPORT GLOBAL現役生企画は、現在海外の大学院でスポーツ分野について学んでいる日本人に、入学までの経緯、大学院の授業、同級生について、そして日々の生活で気付いたことなどをインタビューしていく企画です。2ヶ月に1回程度の頻度でインタビューをしていき、卒業、そして就職までの道のりをリアルに追いかけていきます。

2020年にSPORT GLOBALのメインプロジェクトとして始まった現役生企画も今年でシーズン4に突入。これまで日本もしくは海外学部卒→大学院、就業→大学院など様々なキャリアを持つゲストに参加して頂き、イギリス、スペイン、アメリカ、フランスなど、複数国のスポーツマネジメント系の大学院プログラムを紹介して来ました。

シーズン4も、バラエティに富んだバックグランドを持つメンバーが集まってくれました。第1回では、それぞれの大学院を選んだ経緯をシェアしてもらいました。今回がシーズン4の最終回。彼らの経験を余すところなくシェアしていきたいと思います。

※本文では大学名は以下の訳語を使います。
University of Liverpool MBA Football Industries→FIMBA
Loughborough University→ラフバラ大学
The Football Business Academy→FBA
University of Arkansas→アーカンソー大学
University of Sussex→サセックス大学
The University of Edinburgh→エディンバラ大学
Birkbeck, University of London→バークベック

とりあえず近況報告

登場人物A伊藤慎平さん

日本に戻って来ており、今週から日本サッカー協会(JFA)での仕事が始まりました。JFAが独自に持っているユース指導者ライセンスのガイドラインを英語で作成する業務などをしています。いずれアジアサッカー連盟(AFC)で制度が確立するのを見込んで、JFAの既存の制度を整理する業務です。夢フィールドまでの通勤が2時間近くかかるので、移動時間を有効に使おうと考えています。

登場人物A杉田響さん

僕はまだイギリスにいます。2週間前ぐらいに卒論を提出しました。滞在先のアパートの契約が切れてしまい、今はシェフィールドという町の近くにあるドンカスターという田舎町に引っ越しました。ここには多分1ヶ月くらいしか滞在しないので、なんとか頑張って仕事見つけて、次のところに移れたらと考えてます。

登場人物A水口珠莉さん

FBAも就活サポートはしっかりしています。例えば、FBAの卒業生しか入れないWhatsAppのグループがあり、就職に役立つ情報が頻繁にアップデートされています。最初に話をしたWomen’s Gameの開発プロジェクトも、このグループがきっかけで開発者と繋がることが出来ました。あとは、FBAのスタッフが広いコネクションを持っています。例えばAdidasとは強いコネクションがあり、本社で研修したり、空きポジションの情報が随時アップデートされます。他にも、LinkedInの使い方、レジュメの書き方などの講座も充実しています。色々なサポートがありますが、この中で一番特徴的なのは、「横の繋がり」だと思います。卒業生WhatsAppでリクエストを出すと、大体繋がりたい人と繋がることが出来ます。お願いすればジョブインタビューの練習もしてくれます。それでもサッカー界での就職はまだハードルが高いです。私のクラスでも20人中2人だけしかサッカー界での仕事に就けていません。クラスメイトの中にはフリーランスや起業する人もわりと多い印象です。例えば、サッカーに特化したグローバルエージェントを始めた仲間もいます。これはFBAの良いところだと思います。有言実行の人が多いです。起業する人が多いのは、FBAのカリキュラムも関係しているかもしれません。最終モジュールで起業やイノベーションに関する授業があり、すごく楽しい内容だったので、これに触発され起業に立ち上がったひとがいるかもしれませんね。

修論/卒業プロジェクトの内容

登場人物A伊藤慎平さん

FIMBAは卒論を書くか、ワークベースプロジェクトといって、企業でインターンシップや実際に働きながら成果物を代替として提出するというやり方の2つから選べます。ワークベースプロジェクトの方が少数派で、14人いて多分2、3人がやっていました。他の同級生は卒論でしたね。僕も卒論を書きました。テーマは、日本サッカーのタレントディベロップメントに関してです。課題を整理して他の国との比較をしました。指導者の質の担保に関しては、UEFAの指導者ライセンスの互換性など、AFCの取り組みも調べました。

登場人物A杉田響さん

僕がいたラフバラ大学のコースは卒論でした。トピックは、Sports for Development and Peace(SDP)に関してで、スポーツを通じた開発や平和構築をしていますサッカープログラムについて調べて書きました。サッカーを通じたSDPのプログラムは、メリット・デメリットがあると言われており、全体としてどういった課題があるのかスコーピングレビューという手法をつかって卒論を書きました。スコーピングレビューをすると、知らない分野において、どういう知見、課題があるのか抽出できるのでとても勉強になりました。

登場人物A水口珠莉さん

 FBAは卒業プロジェクトをするのが必須になっています。以前も少し話ましたが、ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC(ウルヴァーハンプトン)のプロジェクトをクラスメイト5人とやりました。韓国人選手がいたので、韓国のマーケットをどれだけ拡大できるかを課題にしました。週1回ウルヴァーハンプトンの方々とミーティングをして、自分たちのリサーチとクラブ側のデータを見比べ検証したり、最後はプレゼンテーションにまとめて、それを実際にウルヴァーハンプトンにリサーチ結果と施策の提案をしました。最終評価はクラブ方々と先生の評価だったんですけど、ありがたいことに、全体で2番目の評価を得ることが出来ました。プロジェクト中はウルヴァーハンプトンの職員と同様にあつかってもらい、普段はアクセスがない情報も共有してくれて嬉しかったです。

大学院留学を振り返って、何が一番印象に残っていますか

登場人物A伊藤慎平さん

一番印象に残っているのはクラスメイトとすごした時間です。もちろん大学院の授業で学ぶ内容は価値があると思いますが、FIMBAにいってそこでしか会えない仲間に出会えたのは一番の財産だと思います。家族を離れて単身で留学しましたが、毎週サッカーして、その後パブで話をしてみたいな生活はもう二度と訪れないと思います。何やるにもみんなで一緒にという感じでした。僕ぐらいの歳になるとあんまりそういう機会ないじゃないですか。留学中は違う自分になっていたと思います。僕はそもそも留学するかどうか悩んでいましたが、他にも悩んでる方やがいれば、とりあえず一歩踏み出してみるのをおススメします。あとはそれを自分なりにどう正解にしていくかだと思います。

登場人物A杉田響さん

僕も伊藤さんと同じような答えになってしまいますが、今のクラスメイト知り合えたのが一番の財産だと思っています。アメリカの学部時代の一番の財産も同じくクラスメイトですが、今回のイギリス留学では、大学院留学というのもあり、本当にスポーツに対して情熱的な学生が多く、刺激を受けました。昼休みや授業後にクラスメイトとスポーツについて深く話し合うのが本当に楽しかったです。本当にお互い刺激し合って高め合うという関係性があったと思います。今後もどこかでまた一緒に仕事したいと思える仲間たちです。

登場人物A水口珠莉さん

私もみなさんと同じになってしまうんですけど、やはり仲間との時間が一番印象に残っています。オンラインがメインのプログラムだったので、実際に会えた期間は短かったのですが、私が自分の好きなことを本気でシェアできたコミュニティだと思います。FBAに入った時の一番最初の自己紹介で言ってみたんですよ「女子サッカーが好き。女子スポーツ全般好き」って。そしたらその後に色んなクラスメイトが「どういうことが好きなの?」「何のスポーツを応援してるの?」など質問してくれたので、本当に嬉しかったです。みんなスポーツが好きで、同じ方向を目指してるという安心感ありました。初めて会うクラスメイトも何十年来の友達みたいな感覚があり、これから先本当にそうなるといいと思っています。FBAはオンラインがメインのプログラムなので、それが理由で進学を悩んでいる人もいるかもしれませんが、自分次第という前提はありつつも、オンラインでも自分が心を開けば相手も絶対心を開いてくれるので心配ないと思います。あとは、英語力が足りなくてどうしようか悩んでいる人もいると思いますが、英語力が心配な人でも私はぜひ留学してほしいなって思います。自分の努力次第でどうにでもなると思います。

SPORT GLOBALからクロージング

登場人物BSG事務局

シーズン4は、今回が最終回になります。これまでの現役生企画との類似点もあれば、ユニークな点もあったと思います。本企画を通じて「スポーツ×海外留学」の理解が一層深まり、より多くの方が一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
今後も定期的にインタビューを発信して参りますので、今後取り上げてほしいテーマや現役生に聞いてほしい質問などありましたら、こちらの、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。
また海外の大学・大学院でスポーツを学んでおり、現役生企画に参加いただける方も随時募集中です。ご連絡お待ちしています。

今後も定期的にインタビューを発信して参りますので、今後取り上げてほしいテーマや現役生に聞いてほしい質問などありましたら、こちらのお問い合わせフォーム、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。

また海外の大学・大学院でスポーツを学んでおり、現役生企画に参加いただける方も随時募集中です。ご連絡お待ちしています。

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