概要

■正式名称:リール大学スポーツ科学部 Master of International Sport Administration(修士)
運営機関:リール大学
リール大学の設立年:1896年 
場所:リール(フランス北部の地方都市)
コース期間 : 原則 2年 
■募集定員: 20人前後( 留学生は約半数) 
授業料 : 留学生は1年3370 € +CVEC (大学生活協賛金) 90€ ※今後改定される可能性有り
URL:公式ホームページ

リールという都市

フランス北部、ベルギーの国境近くに位置するリールは人口25万人ほどの地方都市である。地理的な条件もあり、どちらかというとフランスよりもベルギーの文化が強い(例えば、リールの人々はワインよりもビールを好む)。リール大学以外にも有名な高等教育機関が5つほどあり、学生の街と言われている。スポーツが盛んな地域であり、特にリールのプロサッカーチームLille OSCは昨年チャンピオンズリーグに出るなど注目が集まっている。

リールの中心広場グラン・プラス

リール大学の特徴

リール大学はフランス北部に位置する総合大学である。現在は、文化学部、経営学部、医学部、人類科学部、理工学部、スポーツ科学部の6つの学部が存在する。総学生数は72,000人で、そのうちの約10,000人が外国人学生である、また現在、13の学士・修士課程が英語のみで行われており、大学の国際化も進んでいる。

入学情報

このコースに入学するためには、書類選考とインタビューテストの2つのテストを通過しなくてはならない。
①書類選考
リール大学独自の修士課程志願サイトに主に以下の書類を提出する必要がある:
・在籍大学での成績証明書
・B2以上の英語能力またはそれに相当する能力があることを示す証明書
※外国人学生はB2以上のフランス語能力またはそれに相当する能力を証明する書類も必要
・モチベーションレター:将来の目標、なぜ自分がこのコースに入学するに適しているか、スポーツ業界においてどのような経験が既にあるかを記載し提出する
この書類選考を通過した場合のみ、次のインタビューテストに進める。

②インタビューテスト
この修士課程のディレクターとの個人面接が英語と仏語にて行われる。インタビューテストを合格した場合のみ入学許可が認められる。

コース内容

1学年約20人の学生共に授業が進められていく。学籍の国籍は年によってフランス、ベルギー、アメリカ、ブラジル、中国と多様な文化の中、学生生活を過ごす。日本の修士課程のような専門分野に絞って勉強するというよりは、スポーツビジネスに必要な分野を幅広く勉強するコースとなっている。授業でのプレゼン、小テスト、レポート提出で成績が決まる。基本必修科目のみで、一つでも単位を落とせば留年となる。英語で行われる授業もあるが、3:7の割合でフランス語の授業が多く行われる。時々、スポーツ業界で働くリール大学の卒業生が外部講師として授業を行ってくれることがある。昨年は、ASO(ツールドフランス主催者)のマーケティングマネージャーや、UEFA EURO2020組織委員会開催都市コーディネーターが外部講師として参加。
授業の他に1年に1回(卒業迄に2本) 論文の執筆をしなければならない。また卒業要件として、1年に1回3ヶ月以上のインターンをすることが必須になっている。ただ、大学側からインターンの斡旋等はなく自分一人で探すこととなる。

必須授業は以下の通り。

Year 1

Semestre 1 (セミスター1)
・Marketing sportif international(国際スポーツマーケティング)
・Socio économie du sport et globalisation(スポーツ社会経済学)
・Management des organisations sportives(スポーツ組織経営学)
・Institutions sportives internationales(国際スポーツ組織論)
・Sociologie des pratiques et des pratiquants : perspective internationale(国際社会学)
・Approche socio-historique du management sportif(スポーツマネジメントの歴史的変遷)
・Comptabilité et gestion financière(簿記・財務)
・Outils de communication(コミュニケーション論)
・Techniques de distribution dans les marques internationales(国際物流論)
・Outils de Communication numérique(データ分析論)
・Organisation d’événements sportifs internationaux(国際スポーツイベント論)

Semestre 2 (セミスター2)
・Tourisme sportif et développement des territoires
(スポーツツーリズム論)
・Politiques sportives internationales(国際スポーツ政策論)
・Management des services touristiques et de loisirs sportifs(スポーツレジャー・マネジメント論)
・Environnement communication et médiatique(スポーツメディア論)
・Conduite de projets interculturels en management du sport(プロジェクトマネジメント論)
・Approfondissement linguistique en management du sport(英語コミュニケーション論)
・Management et Ressources humaines(人材マネジメント論)
・Stage (インターン ※最低2ヶ月半以上) 
・Mémoire(論文)

Year 2

Semestre 1 (セミスター1)
・Stratégie dans le secteur du sport(スポーツ産業戦略論)
・Communication, sports et nouveaux médias(応用スポーツメディア論)
・Sport et politiques : perspectives internationales(国際スポーツ政策論)
・Management de l’événementiel sportif(スポーツイベントマネジメント論)
・Management interculturel et dynamique de groupe(国際マネジメント論)
・Entrepreneuriat et innovation(アントレプレナーシップ論)
・Techniques de commercialisation et processus de négociation(ビジネス交渉論)
・Outils de communication digitale et techniques(デジタルメディア論)

Semestre 2  (セミスター2)
・Creation d’entreprise : projet professionnel(アントレプレナーシップ実践論)
・Stage(インターンシップ※最低3ヶ月以上) 
・Mémoire(論文)

卒業生の今

卒業生の就職先は、リール発祥のスポーツブランドDecathlonやツールドフランスを企画するAmaury Sport Organisation(ASO)、パリ2024のゴルフ競技会場としても使われる Le Golf National など。外国人学生も、Decathlon China またはその国のプロスポーツチームなど、就職先は多岐に渡る。


記事・情報提供:岩沢健太

関連URL

リール大学Master of International Sport Administrationの岩沢健太さんのnote