初めまして、SPORT GLOBALインターン2期生のMINAです。
この企画では、国際スポーツ大会や国際機関へのボランティア活動参加経験や、ボランティア活動を通して国際スポーツ界への進出の機会を掴んだ方の経験談を紹介していきます。私自身、これまでスポーツ経験はゼロに等しく、今も社会人としてスポーツとは異なる業界で働いています。しかし、昨年8月の東京2020オリンピック大会へボランティアとして参加したことをきっかけに、語学を活かしてスポーツの発展に貢献できる海外スポーツ界に強く興味を持ち、海外スポーツ界への知見を深め国際的に活躍される方やその仕事の魅力を伝えていきたいと考えています。特に海外スポーツ界へ進出する手段の一つとして、国際スポーツ大会や国際機関におけるボランティア活動は非常に有効ではないかと考えており、ボランティア活動を通じてより多くの人に海外スポーツ界への興味関心を持ってほしいという思いから、この企画を始めました。今回は第一弾として私が昨年参加した東京2020オリンピック大会におけるボランティア活動を紹介したいと思います。
東京オリンピック大会ボランティア活動経験談
ボランティア活動参加のきっかけ
四年に一度開催され、世界中のアスリートが一度に集結するオリンピック大会。学生生活や仕事で培った語学を活かして大会の成功に貢献したいという気持ちから、応募を決めました。最初にスポーツの国際大会においてボランティア募集があることを知ったのは、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催時です。ラグビーワールドカップ2019日本大会のボランティアに応募したものの、抽選の結果、落選してしまったことから、東京2020オリンピック大会では必ず参加したいと考えていました。特に学生時代にテレビコンテンツを販売する会社で字幕翻訳チェックのアルバイトをしていた為、メディア関連の活動に興味を持っており、またボランティア活動期間中にアスリートを間近で見ることができるのではないかという淡い期待も抱いていたことからメディア対応を第一希望として応募しました。
ボランティア活動の具体的な内容
- どのようにボランティア活動を知ったのか
オリンピック大会ボランティアの特設サイトを調べ、ボランティアの募集があることを確認しました。私はメディア対応を第一希望としていましたが、その他にも会場内誘導や競技運営、選手団のサポート等、多岐に渡る活動があり、応募時には第一希望から第三希望まで希望を出すことができました。応募に際し年齢、拘束時間に関して条件は特段ありませんでしたが、ボランティア採用後、シフト選択の際に10日以上の活動を基本とする旨、連絡がありました。(メディア対応のボランティアでは「シフト時間帯より少し遅れての到着や少し早い帰宅であっても活動したい場合、活動日のシフトを承諾頂き、会場でお会いしたいです」という主旨の連絡がメールであり、実際の活動日や時間については活動内容等により柔軟に対応してもらえました。) また、英語レベルに関しても特段条件はありませんでしたが、応募時に語学の資格や志望動機、希望する活動内容を記載する項目があったので、個人的な推測になりますが、各自の資格や希望等に応じて、メディア対応や通訳等、英語を比較的多く使用する活動に割り当てられたのではないかと思います。 - ボランティア活動までの事前準備
2018年11月にボランティア応募後、2019年3月に対面でのオリエンテーション及び4-5名のグループ毎に日本語でのインタビューがあり、ボランティア活動への意気込みや希望する活動内容について質問がされました。その後、2020年3月にメールにて、ボランティア活動の採否結果と活動内容について連絡があり、無事第一希望の活動に採用されたことを確認しました。その後、大会開催までに複数回オンラインや対面での研修が実施され、各会場における具体的な活動内容についてはボランティア活動初日にスタッフより指示がありました。大会開催直前には、ボランティア活動時に着用する大会オリジナルのユニフォームや会場へ入場する際のID等が配布され、活動へのモチベーションがより高まりました。
- 具体的な活動内容
・卓球会場におけるメディア関係者のサポートに携わりました。ボランティア活動期間は活動内容等により異なるようですが今回は卓球の試合開始前、及び試合期間中の2021年7月~8月が活動対象となり、活動時間は昼間と夜間に分かれてシフトが組まれていました。私の場合は平日が終日仕事の為、土日の活動を基本とし平日は有給休暇(半休等)を利用して参加しました。主な活動内容は、①メディア関係者の会場受付、②メディア関係者の待機場所における備品・食料準備、③記者会見の設営準備で、左記の他にもフォトグラファー関係者のサポートや試合会場におけるメディア関係者誘導等の業務がありました。
・ボランティア参加者は大学生から会社員まで、また外国人のボランティア参加者も多数おり、世代性別国籍関係なく異なるバックグラウンドを持っている関係者一丸となって活動をしていました。活動内容についてはマニュアルがあり、事前に大まかな内容は定められていたものの、ボランティアのみならず現場の関係者全員が本番一発勝負でした。その為、初回から数日の活動においては手探りで進める場面も多く、どうしたら準備や受付の際にトラブルが起きないか、どうしたらより効率的に進められるかを各自で考え、マニュアルにはないイレギュラーな対応をした際には他のメンバーと共有しながら日々活動内容を振り返り改善していきました。これまで国際的なスポーツ大会に携わった経験はなく、ボランティアという立場ではありましたが、活動を通じて他のメンバーと活動時に感じたことや考えたことを積極的に共有することで、大会運営に携わる一員であるという誇りを持つことができたと思います。
ボランティア活動後の感想
・大会当事者としてオリンピックの運営に携わったという達成感、また大会期間中のお祭りのような独特の高揚感を体感できたことが、ボランティア活動の一番の醍醐味でした。国内のみならず海外からも様々な国のジャーナリストが試合会場に来て取材活動をしていた為、活動期間中は日常的に英語や他言語が飛び交っており、非常に国際的且つ刺激的な環境の中で活動をすることができました。新型コロナウイルス感染拡大に伴い無観客での開催となったこともあり英語を使用する機会はないと考えておりましたが、活動期間中に海外から来ているジャーナリストと話す機会が沢山あり、当初自分が思い描いていた「語学を活かして大会運営を支える」活動ができたのではないかと思います。
・大会期間中、ボランティアとして自分が携わった試合が連日テレビや新聞で報道されている様子を目の当たりにし、メディアの力によりスポーツが多くの人や企業の注目を集め、スポーツビジネスが成り立っているのではないかと強く感じました。また試合会場ではボランティア参加者等現場の関係者に対して大会スポンサーに配慮した注意事項(スポンサー以外の企業名が入った物は極力名前が見えないように持ち込む等)が徹底されており、数多くの企業が関わる国際的なスポーツ大会ならではの配慮も垣間見ることができました。大会運営を支えるスタッフやバックグラウンドの異なるボランティア参加者と共に活動をし、交流する中で、国際的なスポーツ大会の成功裏には多くの関係者が関わり大会運営を支えていることを実感し、ボランティア活動を通して海外スポーツ界への進出を考えるきっかけになりました。現在は海外スポーツ界への知見を深めるべく、SPORT GLOBALを通して実際に活躍している人や仕事を知り、将来海外スポーツ界へ携わる方法を模索しており、今後もボランティア活動をはじめ、様々な形で海外スポーツ界との接点を増やしていきたいと考えています。
まとめ
ボランティアは、大会関係者の中で最も現場の最前線に立つことから、普段試合を観戦するときには見えない大会運営の裏側の様子を垣間見ることができます。現場の最前線で対応する難しさを実感することもあるかと思いますが、同時に大会期間中の高揚感を味わうことができると思います。また、ボランティア活動はスポーツ経験がなくとも参加可能であることから、海外スポーツ界への進出を検討する第一歩として、実際の国際スポーツ大会の現場の雰囲気を知る非常に良い機会であると考えており、より多くの方にボランティアへ参加してみたいと思っていただけたら嬉しいです。今後も国際スポーツ大会や国際機関でのボランティア活動経験を纏めていきますのでどうぞ宜しくお願いします!