岡本菜摘さんのプロフィール
- 岡本菜摘(オカモト・ナツミ)
コロンビア大学Master of Science in Sports Management修了 -
1997年生まれ、東京出身。幼少期から本格的にテニスを競技として取り組んでいた関係で14歳のときにスペインに渡り、バルセロナのテニスアカデミーでプレーしながら、現地のアメリカンスクールで勉強。大学はアメリカのピッツバーグ大学に進学し、卒業後競技を引退。その後、スポーツビジネスを専攻するため、コロンビア大学のスポーツマネジメント修士コースに進学。2021年4月に三井物産に入社。
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※この記事は2021年8月4日にSPORT GLOBALメンバー秋田・辻が実施したインタビューをもとに作成。
岡本菜摘さんとのQ&A
- 大学卒業後、なぜコロンビア大学のMaster of Science in Sports Managementに進学することにしたのですか?
- 大学ではファイナンスを専攻していたが、ファイナンスに特化した仕事に就くイメージが湧かなかった。大学卒業後はビジネスの道に進みたいと思い、色々調べている中で、スポーツビジネスに惹かれた。ニューヨーク、ジョージタウン、コロンビアの3校に合格したが、アイビーリーグの大学であること、そして小さい頃からニューヨークに住みたいという夢もあり、コロンビア大学に進むことにした。
- コロンビア大学のMaster of Master of Science in Sports Managementのプログラム内容について教えてください。
- 多くの大学院が2年間のプログラムを提供している中、コロンビア大学のフルタイムコース期間は1年半なので、短期間集中型で忙しい。内容はスポーツビジネスの4つのセグメント(①メディア、②スポンサーシップ、③チーム、プレイヤー関連、④イベント)に分かれる。1学期目は満遍なくスポーツビジネスの一般教養を学び、2学期目以降はインターンシップをしたり、興味のある選択科目を履修したりすることができる。教師陣もスポーツビジネス界で働いている方が多いため、実務的な授業が多い。私もニューヨークを拠点としており、タイガーウッズなどを抱えているExcel Sports Managementというエージェンシーでインターンシップを行なった。私の場合は自分でインターン先に応募したが、インターンシップの斡旋をしてくれる、キャリア担当の方も大学側にいる。ただし、いくらコネクションはあっても、最終的には自分の実力や積極性が問われる。特に大学院は、大学以上にさらに自主性が求められると感じる。同じクラスにもディスカッションに積極的に参加する人もいれば、入学したことに満足している人もいたので、そこで差が生まれる。
- 岡本さんも創設メンバーの一人であるAsian Sports Business Clubはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?
- 同級生のシンガポール人が卒業後もせっかく構築した人脈を途絶えさせないようコミュニケーションを取り続けようと言ったのがきっかけで立ち上がった。アジア各国のスポーツについて知りたい人やどうしたら働けるか知りたい人に向けて、懸け橋になれればと思い、2021年5月に創設した。部外者でもフォロー可能。まだ本格的には活動できていないが、ニューヨークを拠点に活動予定。
- ピッツバーグ大学時代に岡本さんはNCAA(全米大学体育協会)の学生組織SAACの一員でしたが、どのような組織でしたか?
- SAACはNCAAの学生組織で、米大学の各スポーツ部から一人ずつ代表として選出される。先輩の勧誘で3年生時から選ばれた。内容はボランティア活動からアスリートの表彰、問題の改善に関するディスカッションなど幅広く、月1~2で活動している。ディスカッションするだけではなく、実際に行動に移すこともできるし、ルールを変えることも不可能ではない。NCAAのHQ(@インディアナポリス)で研修を受ける機会にも恵まれて、それはとても良い経験だった。アメリカはアスリートへの対応が日本と異なり、奨学金で全額免除というのが当たり前の世界。そういう意味では組織(NCAA)がしっかりしないと機能しない。卒業生からの寄付も桁違い。
- コロンビア卒業後にスポーツ界に就職しなかったのはなぜでしょうか?
- コロナの影響で本帰国した後、テニス界の知り合いの紹介で、9ヶ月ほどWOWOWスポーツ部の契約社員として働いた。そのままスポーツ界で働くこともできたが、スポーツには何らかの形で将来的に戻られるだろうと感じた。それより、ビジネスの理解を深める必要性を感じ、まずは大きな企業に就職し、ビジネスウーマンとして洗練されてからスポーツビジネスに戻りたいと感じた。
商社は海外とも接点があり、スポーツと全く繋がっていないわけでもないので、この決断に至った。あと、アメリカにそのまま残っていたらスポーツ界で働いていたと思うが、日本に帰国したときにスポーツビジネスの規模があまりにも桁違いで、あまり面白くはないだろうと感じたのも事実。 - 最後に、今後仕事を通してやりたいことをぜひ教えてください。
- 常に目の前のことを集中してやり抜きたい性格なので、5年後、10年後のことはまだ分からない。ただ、どこかでスポーツに関わりたいという気持ちはあるし、特にテニスは自分の原点でもあるので、また関わりたいと思っている。それが日本か海外か、そしてどんな形で関わることになるかはまだ分からないが、自分の強みを活かせることをやりたい。
編集後記:インタビューを終えて
SG事務局・秋田
凛としていて、テニスで培った力がひしひしと伝わってきました。世界は広いです。同じ年を生きていても場所と経験で差が開くと感じました。
SG事務局:辻
アスリートとしても、学生としても常に最前線で経験を積まれた菜摘さんのお話はとても刺激的でした。スポーツ界に必要な貴重な人材なので、商社でパワーアップして、ぜひどこかのタイミングでスポーツ界に戻ってきてほしいです。