この企画では国際スポーツ大会や国際機関へのボランティア活動参加経験や、ボランティア活動を通して海外スポーツ界への進出の機会を掴んだ方の経験談を紹介していきます。第3回では、世界陸上2022オレゴン大会のボランティアに参加された能勢もなみさんに、ボランティアへ参加した経緯や活動内容を伺いました。

能勢もなみさんのプロフィール

能勢もなみ(ノセ・モナミ)
東京都出身、国際教養大学(AIU)在学。
留学に対する興味があった為、1年間の交換留学が卒業条件であるAIUで必ず留学をやり遂げようと思い、同大学へ進学。現在Lyon College (アメリカ/アーカンソー州)へ1年間の交換留学中。Lyon CollegeはAIUと規模が似ているため、勉強に集中できると考え、交換留学先として選択した。
登場人物B

インタビューQ&A

世界陸上のボランティアに参加したきっかけは? ボランティアの活動内容は?

中学、高校で陸上部に所属しており、陸上競技が好きで大学生になってからも陸上の大会を見る機会があったこと、また大会開催時期が丁度留学中の夏休み期間と重なっており、ボランティアへの参加が可能であったことから、応募しました。

世界陸上ボランティアの申し込みは20221月から始まり、当時は今ほど英語に自信はなかったものの、海外の国際大会でボランティアができるのはめったにない機会であり、やるなら今しかないと思い、応募しました。

 ボランティア活動では、観客のサポートを主に担当し、チケットの確認、観客への座席案内、競技場の周りの案内等をやっていました。また、各国のチームのコーチや関係者への案内等も行いました。

ボランティア参加にあたり必要な資格や条件、事前の準備はあったか?

必要な資格は特にありませんでしたが、現地の人とコミュニケーションが取れる程度の英語力は必要でした。また、事前にオンラインでの面接(英語)1回あり、最初に大会スタッフ(ボランティアリーダー)から30人程度に向けて大会に関する説明がされた後、1115分から20分程度の面接が実施されました。面接ではボランティアへ応募したきっかけやボランティアになったら頑張りたいことなどを聞かれました。

東京2020オリンピック大会の際に、選手等を連れてくるバス車両誘導係のアルバイトをしていましたが、その時も今回のように確りとした面接はなく、ボランティアで面接があるとも思っていなかったので、世界的な大会のボランティア募集の時は面接もあるのだと知り、驚きました。

英語に対する不安はなかったか?

大学入学後、本格的に英語の勉強を始め、留学をスタートしました。入学した大学は、留学経験がある方や帰国子女の方が多いのですが、私は帰国子女でもなく留学経験等も特になく、中学・高校の授業で英語を勉強し、ときどき洋楽を聞く程度でした。大学へ入学してから、すべての授業を英語で受けており、最初は慣れなかったものの、常に英語を話さざるを得ない環境にいました。ボランティアに参加した時には、大学や留学先での英語での授業にも慣れ、また留学先で現地の友人もでき、英語を話す機会が多くあったことから、英語が自然と出てくるレベルになっていました。

どのくらいの期間活動していたか?

大会は全部で10日間あり、朝と昼でシフトが分かれていました。朝と昼の両方或いは片方だけの参加も可能で、自分で自由にシフトを選択することができました。ボランティア活動がないときには、チケットを買って試合を見に行ったり、大会関連のイベントに参加したりしていました。

大会期間中Uplift Oregon 5k(マラソンイベント)で5kmのレースへ参加

どんな人が参加していたか?

参加者の年齢層は幅広く、学生(高校生・大学生)から60代の方までいて親子で参加されている方もいました。男女比は半々程度でした。また、オレゴン大学に留学している日本人の方も参加していました。

ボランティアで印象的だった活動や出来事は?

日本でもスポーツ関連のボランティアに参加していましたが、ボランティアは一般の人への対応に留まり、関係者への特別対応等はボランティアができるものではないと思っていました。しかし、ボランティア活動中1日のみ、「NIKEの社長の関係者がくるからよろしく」と言われ、VIP席真横のエリアの席案内を任されました。また、取材エリア(ミックスゾーン)の真後ろに立って、近くにきた観客への会場案内等をしていた際に、世界陸上の取材をしていたTBSの関係者(担当のアナウンサーやカメラマン)と直接話をすることもできました。スタッフではなく、ボランティアという立場であるにも関わらず、重要な役割を任され、「こんなこともさせてもらえるのか」と驚くと同時に、とても嬉しかったです。

 大会期間中はほぼボランティア活動に従事し、1日屋外で立ち仕事であったことから、体力的に大変でしたが、ボランティア中は周りの方のサポートや嬉しいハプニングも沢山あり、本当に良い経験となりました。ボランティアでは楽しさが上回り、活動をしていて活動内容が嫌と感じたり、辛いと感じたりすることはありませんでした。

観客への会場案内の様子

この経験を今後どう活かしていきたいか?

大学1年生の時に、秋田県をホームとしているBリーグ・プロバスケットボールチームの秋田ノーザンハピネッツ(秋田ノーザンハピネッツ (northern-happinets.com))でハピネッツガールズとしてチームのPR活動をしており、試合前トークや観客へのプレゼント抽選結果の発表等を行い、チームの試合を盛り上げていました。また、障害を持つ方の陸上大会のボランティアにも1度参加しました。

今回の世界陸上ボランティアの経験を糧に、日本帰国後もスポーツのボランティア活動に取り組みたいと思っています。また、帰国する頃には英語ももう少し上達していると思うので、通訳等のボランティアにも挑戦してみたいです。

将来ですが、今は授業でビジネスを専攻しているものの、大学で幅広い分野の授業が取ることができ、面白そうと思う分野が広がってきているので、就職等に向けて興味のある分野を絞り始めているところです。また、中学・高校時代から陸上がずっと好きなので、世界陸連や日本陸連等、陸上関連団体への就職にもチャレンジしてみたいと考えています。

今後ボランティア参加を考えている人へ伝えたいこと

ボランティアは基本的に無償のものなので、自分が楽しいと感じるもの、興味があるもの、「きつかったのは体力だけ!」と思えるくらいの活動を選択し、挑戦することが大切だと思います。自分が思っている以上に貢献できることもあるし、興味のある分野に直接関わっている方々と交流できるので、学生も社会人の方も新たな道が開けると思います。

また、私は帰国子女ではなく留学経験もない中で世界陸上のボランティアに応募しましたが、初めてのことでも1度挑戦してみると、最終的にやってよかったと思えるので、もし今国際スポーツ大会へのボランティア参加を迷っている方がいれば、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

大会主会場のヘイワード・フィールドでの一枚

ボランティア情報(世界陸上2023ブダペスト大会)

来年8月に開催予定の世界陸上2023ブダペスト大会のボランティア最新情報はこちらから!
Volunteer recruitment starts soon | NEWS | WCH 23 | World Athletics

編集後記

世界陸上のボランティアを始め、スポーツに関わる活動に積極的に取り組む能勢さんのお話から、経験がなくともまずは挑戦してみることで、新たな夢や目標を掴むことができるのではないかと感じました。能勢さん、貴重な経験を共有頂きありがとうございました。

ボランティア企画第3回国際スポーツ大会ボランティア参加者へのインタビュー、いかがでしたか?今後も国際スポーツ大会や国際機関でのボランティア活動経験等を纏めていきますので宜しくお願いします。今後取り上げてほしいテーマや聞いてほしい質問などありましたら、こちらのお問い合わせフォーム、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。

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