企画の概要説明

「海外でスポーツを学ぶ現役生たち」は、現在海外の大学院でスポーツ分野について学んでいる日本人学生に、入学までの経緯、実際の学校の授業やクラス、そして日々の生活で気付いたことなどをインタビューしていく企画です。
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現役生の基本情報

岩沢健太(イワサワ・ケンタ)さん
登場人物A
フランスのリールにある、リール大学院に在学中です。授業はフランス語と英語で行われる環境にいます。現在在学3年目です。以下、岩沢さん。
岡山駿(オカヤマ・シュン)さん
登場人物B
スコットランドのエディンバラにあるエディンバラ大学の修士プログラムに在学中です。本年度入学で授業が始まったばかりです。以下、岡山さん。
山岸瑤子(ヤマギシ・ヨウコ)さん
登場人物C
国際オリンピック委員会(以下、IOC)とも関わりが深いスイスのローザンヌにあるInternational Academy of Sport Science and Technology(以下、AISTS)で修士プログラムに在学中です。岡山くんと同様に、本年度入学です。以下、山岸さん。

※このインタビューは1月23日(土)の日本時間20時に実施されました。

各国のコロナ状況と年末年始の過ごし方

登場人物A山岸瑶子さん

スイスの感染者数は減ってきましたが、隣国がまだロックダウン中なので、スイスもそれにならって、レストランやバルを営業停止にしています。今週からイギリスの変異種対策としてさらに規制が厳しくなるそうです。

登場人物BSG事務局

ニュースでも話題になってましたが、スイスのスキー場は普通に営業してるんですよね?

登場人物A山岸瑶子さん

そうなんです。スキー場のレストランは閉まってますが、リフトはちゃんと動いているので、結構みんな行ってますね。
私はスキーはまだなんですが、クリスマス休暇に帰国できなかったクラスメートと一緒に山奥でAirbnbを借りて、自国の料理を作ったりして、2泊3日食べ続けました。

登場人物A岩沢健太さん

フランスでは今でも一日に感染者数が2万5千人ぐらい出ています。どんどんコロナの規制が厳しくなっていて、今はNight Curfew(夜間外出禁止令)があり、夜6時以降外出できないようになっています。証明書があればOKですが、無断外出した場合は135ユーロの罰金が科されます。スキー場に関して言うと、フランスもスキー場はオープンしてますが、リフトは動いてないので、上がりたかったら自分で上がるしかないんです。人が集まることをを避けたい政府と、今が稼ぎ時なのでなんとかして稼ぎたいスキー場の組合がずっとバチバチやってる感じですね。

登場人物A岡山駿さん

イギリスでもクリスマスからコロナ警戒レベルが4になったので、クリスマスは寮にいる友人と少人数でご飯を食べました。大晦日はエディンバラ在住の日本人と一緒に街を一望できるカールトン・ヒルに行き、カウントダウンを迎えました。バグパイプを吹いてる人がいたり、花火が上がったりしていたので、あの雰囲気を味わえたのは良かったですね。

年明けの授業内容

山岸瑤子さん(AISTS/スイス

登場人物A山岸瑶子さん

1月からはテクノロジーの授業が始まりました。高校以来物理に触れていなかったのですが、ボールの回転やスキー板の角度などについて勉強しています。2月になるとSport Sociology (スポーツ社会学)の授業が始まります。授業のほかに、卒論とチームプロジェクトを進めていて、論文は”Community Engagement at Mega Sports Events”について書く予定です。元々イギリスで盛んなコンセプトなんですけど、パリ五輪の組織委員会にもCommunity Engagementの部署があるので、ヨーロッパではトレンドになっている気がします。

登場人物BSG事務局

AISTSの正式名称はInternational Academy of Sport Science and Technologyで、名前にTechnologyが入っているぐらいなので、結構テクノロジーに力を入れているんでしょうか?

登場人物A山岸瑶子さん

AISTSが提携しているEPFL(大学)が結構研究に力を入れていて、IF(国際スポーツ連盟)から依頼を受けて、例えばスイムスーツの素材について共同研究することがあるので、自然とテクノロジー関連の研究が多くなるんでしょうね。

岡山駿さん(エディンバラ大学/イギリス)

登場人物A岡山駿さん

セメスター2は①Sport Policy、②Sport and Media、③Sport Society and International Development、④Research Methodsのテーマをカバーしているんですが、自分の興味にマッチするテーマが多くて、今すごく楽しいです。Sport Society and International Developmentではネルソン・マンデラが言った「スポーツは世界を変える力がある」という言葉について議論しました。ヒトラーがオリンピックをプロパガンダに使ったという悪い例もありますが、それでもやはりスポーツは社会に貢献する力があり、そこで大事になるのはまずEvidence(証拠)だよね、という前提から始まりました。僕の解釈だと、スポーツがいかにして持続的に社会貢献できるかのHOWの部分を学ぶのがSport Policyなので、Sport PolicyとSport Society and International Developmentは結構関係が深いと思います。

登場人物BSG事務局:椙山

スポーツができなくなっている今、いつも以上にスポーツの価値が議論されているので、ポストコロナ社会におけるスポーツの重要性は今後さらに面白いテーマになりそうですね。

岩沢健太さん(リール大学/フランス)

登場人物A岩沢健太さん

第二学期は授業が少なく、論文を書くためのメソドロジーの授業とゲストスピーカーの講演のみのカリキュラムになっています。ちなみに論文は”Brand Governance”について書こうと思ってます。ブランドと言うと、どうしても知名度を高めることに注目が行きがちですが、ブランドの価値を長期的に高めていくためにはどうすれば良いのか、ステークホルダー・マネジメント、SNSの使い方など、様々な角度から考えたいと思います。

登場人物BSG事務局

論文は英語かフランス語、どちらの言語で書くんですか?

登場人物A岩沢健太さん

まだ迷ってますが、フランス語で書いてしまうと、フランス語アレルギーの人が結構いるので、たくさんの人に読んでもらうことを考えると、英語のほうが良いのかなと思ってます。ただ、インタビュー対象者にフランス人が多いなら、フランス語のほうが良いと教授に言われました。

最近クラスメートの間で流行ってること

登場人物A山岸瑶子さん

まずは当然みんな東京五輪のことが気になってます。あと、ハンドボールの世界選手権が先日エジプトで開催されていたんですが、久しぶりの国別対抗の世界選手権だったので、みんな結構盛り上がってましたね。

登場人物A岩沢健太さん

特にヨーロッパではハンドボールの注目度が高いので、私もクラスメートから「日本強いじゃん」とか「日本なんでアルゼンチンに負けているんだ」とメッセージ送られたりしましたね。

登場人物A山岸瑶子さん

授業の外では、みんなNetflixにハマってます。今はLupin(泥棒の話)、数ヶ月前はThe Queen’s Gambit(孤児の女の子がチェスで逆転するサクセスストーリー)が流行ってました。The Queen’s Gambitのおかげでチェス連盟の会員数がものすごく増えたみたいですね。

登場人物BSG事務局:辻

Netflixの力は本当にすごいですよね。F1もドキュメンタリーシリーズDrive to Surviveを始めてから女性ファンが急増したという話を聞きました。スポーツライツホルダーはNetflixなどの動画配信サービスを意識せざるを得ない時代になってきましたね。

登場人物A岡山駿さん

大学院のスポーツマーケティングの授業でもAmazon PrimeのAll or Nothingの事例が取り上げられていました。ロッカールームの映像やペップの熱い指導を見られるのはシティファンとしては最高ですね。

登場人物A山岸瑶子さん

私はあまりスポーツのドキュメンタリーシリーズにはハマらないんですけど、NetflixのSunderland ‘Til I Dieは本当に良かったです。イギリスに住んでいる方には特におすすめです。ロンドン時代にサンダーランドCEOのイベントに参加する機会があったんですけど、「小さいクラブはあのようにコンテンツを出さないとファンが離れてしまう。あれは危機感がある中で生まれたシリーズだ。」と話されていたのが印象的でした。

登場人物BSG事務局:椙山

最近はオバマさんのThe Final Yearやマイケル・ジョーダンのThe Last Danceを観ましたが、Netflix Original Seriesは本当に凄いところにカメラを入れていますよね。本当にNetflix最高!

2021年の抱負

登場人物A山岸瑶子さん

まずは、AISTSのコースを滞りなく終わらせて、Research paperも満足の行くものにしたいです。そして、卒業後にちゃんと就職先を見つけたいです。あとはフランス語もコツコツ頑張りたいと思います。

登場人物A岩沢健太さん

今年の抱負は「恩返し」です。半沢直樹で大和田常務の「恩返しです!」を聞いて、これだなぁと思いました。去年色々な人が心配してくれて、連絡してくれたので、今年は自分ができることからなんとかお返しできればと思ってます。大学院を卒業するのもひとつの恩返しだし、恩返しの気持ちを大事にすれば自然と色々なことが上手くいくんじゃないかと思ってます。

登場人物A岡山駿さん

とりあえず大学院をマスターで卒業し、修論も満足の行くもの、かつキャリアに繋げられるようなものにしたいです。修論は日本のスポーツ政策について書こうと思ってます。あとは就活ですね。今年中に就職先が決まっていたら嬉しいです。

SPORT GLOBALからのクロージング

登場人物BSG事務局

ヨーロッパは依然として油断ができない状況が続いていますが、三人とも元気そうで良かったです。各大学院のプログラムも第二学期に突入し、卒業論文や就職活動のお話もちらほら出てくるようになりました。これからも三人の勇姿をお届けしますので、お楽しみに!
今年もよろしくお願いします!

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今後も定期的にインタビューを発信して参りますので、今後取り上げてほしいテーマや現役生に聞いてほしい質問などありましたら、こちらのお問い合わせフォーム、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。