プロジェクト | 海外でスポーツを学ぶ現役生たち×SPORT GLOBAL |
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日時 | 2021年4月3日21:00(日本時間) |
参加者 |
現役生 SPORT GLOBAL事務局 |
現役生の基本情報
- 岩沢健太(イワサワ・ケンタ)さん
- フランスのリールにある、リール大学院に在学中です。授業はフランス語と英語で行われる環境にいます。現在在学3年目です。以下、岩沢さん。
- 岡山駿(オカヤマ・シュン)さん
- スコットランドのエディンバラにあるエディンバラ大学の修士プログラムに在学中です。本年度入学で授業が始まったばかりです。以下、岡山さん。
- 山岸瑤子(ヤマギシ・ヨウコ)さん
- 国際オリンピック委員会(以下、IOC)とも関わりが深いスイスのローザンヌにあるInternational Academy of Sport Science and Technology(以下、AISTS)で修士プログラムに在学中です。岡山くんと同様に、本年度入学です。以下、山岸さん。
第4回目の現役生インタビュー企画、久々なのでまずは近況報告から!
各国のコロナの状況は?また、日本では桜が満開だけど、みんなの国にはお花見の文化あるのかな?
フランスはイギリスの変異株が流行っているので、ロックダウンがフランス全土で始まっている。厳しい環境は続いており、小中高大は閉まっている。
桜の木は見当たらないので、緑を見て過ごしている。フランスではこの時期にお花見ではないが、外に出てピクニックをする慣習がある。しかし、現状はコロナのせいで警察と若者がにらみ合っている写真が新聞に出ている。
イギリスはコロナがだいぶ収まっている模様で、ワクチンがだいぶ効き始めている。集団免疫獲得をしつつあるので、来週の半ばよりロンドンはロックダウンが徐々に緩和する予定。
エディンバラ城の麓で桜がだいぶ咲いていて、ちょっと大阪城みたいな雰囲気になっている。
スイスはフランスと状況は似ている。レストランは引き続き閉まっている。
桜はぼちぼち咲いている。気温が上がっているので、ピクニックやバーベキューを楽しんでいる人がいる。外は最大15人まで集まれる。
各国のワクチン状況
ちなみにヨーロッパのワクチン接種の状況は?
ヨーロッパは国によって違う。海外からの学生はどうなるかわからない。
6月中旬から受けられるようになる予定。フランスに滞在許可証があれば問題ない。夏が終わるまでには18歳以上は必ず一回は受けられるとフランス政府は発表している。
噂によるとワクチンの通知が来るはずだが、若い留学生は後回しかもしれない。台湾のPh.D学生は受けられたとのこと。イギリスの修士課程期間は1年なのでのプライオリティーが低いのでは。
SG事務局のオランダ・マレーシアは外国人でもワクチンは問題なく受けられる。日本の対応はG7の中でも一番遅く、対応が世界より遅れていくことは確か。
いよいよ本題突入!卒論の進捗について。
岩沢健太さん(リール大学/フランス)
テーマは変わらずBrand Governanceで、 最初はIF(国際スポーツ連盟)に声をかけようと思っていたが、森さん騒動を見て、東京五輪をやったら面白いのではと思い、ケーススタディーをIFから東京2020に変えた。文献調査と分析方法は決めたので、あとはインタビュー。聖火リレーが始まったので、インタビューができるか現在模索中。
組織委員会の人ともう一人、日本の中でスポンサーとして関わっている人や日本政府でコミュニケーションを担当している人に話を聞きたい。コンタクトはしているが、時間がかかっている。6月中旬までに書き終えれば良いが、インタビューが間に合うか心配。
山岸瑤子さん(AISTS/スイス)
個人研究はCommunity Engagement at Mega Sports Eventsについてで、ローザンヌ2020ユースオリンピックのCommunity Engagementやパリ五輪のCommunity Engagementの担当者に5月くらいにインタビューをする予定。8月末が締め切り。
インタビューされる人の反応は?
ホットトピックなので、快諾してくれる。クライエントや学校のスーパバイザ―のネットワークの力もある。
経験上、メガスポーツイベントにおけるCommunity Engagementはとても重要。AFCの大会でもそうだが、現地の人達が盛り上がらないと、大会そのものが盛り上がってこない。
アジアの中だと特にヨルダンであったU-17の女子W杯はSocial valueやlegacy、Community EngagementのところでFIFAからも評価が高かった。インタビューをしたが、Community Engagementを頑張りたいという主催者、自治体のマインドセットがあれば上手くいくと実感した。大会開催2年前になるとどうしてもオペレーション業務が中心になるので、招致の時から市民とのエンゲージメントを積極的に行うことが重視されてきている。
岡山駿さん(エディンバラ大学/イギリス)
8月末に1万5000字を提出しないといけない。授業が終わっているので、5月から8月までに書き上げれば良い。日本の体育授業をやろうとしていたが、メガイベントに興味が出てきた。提出期限辺りに五輪が開催される予定で、レガシーをテーマにするのは難しいので、オリンピックの開催前について調べる。一つの案は、報道がどのように変わってきたかというメディアスタディー。パブリックオピニオンとの乖離があるので、それについて調べようと考え中。リオ五輪閉会式にてマリオの仮装をした安倍総理は日本の評判を上げたが、森さんの発言により評判はどうなったのか気になる。
キーワードとしては、ソフトパワー。世界に対する影響はどうなったのか。
コアにあるのは、私自身がメガイベントに対しては懐疑的だったが、実はパワーがあることを学んだこと。半面、悪い面は確かにある。それをなくして、メガイベントの利益の最大化の一端を担えればと考えているが、まだ固まっていない。
メガスポーツは面白い。例えば、去年のカタールでの、アジアチャンピオンズリーグは、COVIDでの特殊な状況下で集中開催をしたが、難しいオペレーションをやり切った事で彼らの信用力は確実に上がっていると思う。
メガスポーツイベントの本筋の目的はスポーツの発展。サッカーでいえば、サッカーの発展を図る。それが一番の利益。しかし、得てしてフォーカスされるのは経済的な部分だったりする。協会には、スポーツの発展という軸を忘れないで欲しい。
開催すれば盛り上がると思うが、今の五輪はネガティブなニュースが多すぎる。2022年カタールW杯も最近人権問題に関するネガティブな報道が目立つので、東京五輪と並べて比較しても面白いかもしれない。
インターンや就職活動について
岩沢健太さん(リール大学/フランス)
Content Stadiumでインターンを始めた。8月中旬まで続く予定。最初、スタートしたときはセールスアシスタントのような感じだったが、この2月15日~3月までに日本のクライアントが4件ほど続き、締め切りがが2〜3週間の厳しい期間だった。
日本側に代理店がいて、デザインとSaaS(Software as a service)のコンテンツを上げるのに時間がかかる。締め切りが近く、マネージャーがピリピリしていて、負担がすごかったが、最終的にソーシャルメディアにかっこいいものが上がってよかった。
フランスと日本の板挟みで大変。日本は日本のやり方があり、お互いに歩み寄らないので大変。日本とヨーロッパ側の両面で見ることができないと厳しい。
日本企業とやりとりする時に感じる事は、ビジネスに対するマインドセットがグローバルスタンダードとずれている事が多い。言語などのハード的な部分だけではなく、社員の考え方・社風などのソフト的な部分も課題だと思う。
岡山駿さん(エディンバラ大学/イギリス)
先日、ある会社の面接を受け、良い経験になった。主にこれまでの経験や今後やりたいことについて話した。
最近は海外で働きたいという想いが強くなってきた。日本での就職も考えており、別の会社の総合職も受けている。スポーツと開発についてアピールできればと思う。その分野に関して、日本はまだあまり戦略的ではないと考えている。
日本財団などがアジアでスポーツを通じた国際貢献をやろうとしているが、JFAなど、現場を持つ組織の方が多くのプログラムを運用出来ているので、彼らはコラボレーションすることで広がりの機会を伺っている。
スポーツ組織の中では、日本サッカー協会(JFA)は、スポーツの国際開発にかなり力を入れている。
山岸瑤子さん(AISTS/スイス)
学業と仕事で忙しいので、インターン探しや就職活動はなかなかできていないが、これからフルスピードで始める予定。チームプロジェクトの人がインターンを募集しているので興味がある。
SNS運用の経験を活かせるデジタル系の仕事を考えている。ソーシャルバリューレガシーを取り扱う組織にも興味があるが、スイスにはなかなかオプションがない。イギリスにはいくつか組織がある。
コロナ禍の影響で、国内の人材を優先的に採用する企業が増えているので、多くの国際スポーツ機関が集まっているスイスに既にいるのは強みになるはず。
一年を通して感じる自分の成長
学部時代よりネットワークが広がったこと。メガイベント等のスペシャリストにインタビューできたのはよかった。
コロナでほとんど家にいるので、自分の成長を感じるのは難しいが、卒業研究とチームプロジェクトはよかった。
前よりやりたいことや興味範囲は学部を卒業した時よりは見えている。自分のバリューをどうやって売っていけばいいか、前よりはわかるようになった。
アカデミックな学部時代からアカデミックではないマスターコースに行ったのは良い選択だったと感じる。
スキルが上がったというよりは、自信がついたので、行動するようになったのはよかった。
海外行ってみて、意外とやってみたらできることがわかったので自信がついた。
海外は英語のスキルがなくても、ある程度許容してくれることがわかり、クラスでも積極的に発言するようになった。
知識面でも、日本に限らずスポーツ全般に対して思っていた疑問に対して、エビデンスをつけて説明できるスキルがついたので、自分の意見が発展できた。
だが、時間がなく、読みたい本とかが結構あるが、卒業後もやっていきたい。
フランスに来て3年になる。大きく分けて3つ学んだ。
1. 視野が広くなった。フランスにはスポーツだけではなく、食・音楽・アートなどの娯楽がたくさんある中で、その中のスポーツという視点が持てた。
2. 語学。フランス語を話さないといけない上に、英語も話さないといけない。ある程度習得できたと思う。
3. 一番大事なのは何とかする力。海外生活をする中で、滞在許可証の書類など無理難題なことばかりが起きたが、なんとか対応できる力がついた。
SPORT GLOBALからのクロージング
海外行くのはハードルが高いと思われがちですが、誰でも行きたいという気持ちがあれば行けるというのは日本にいるみんなにも伝えたいですね。同時に、海外生活は華やかだと思われがちですが、修行に近いものがあり、それがあるからこそ、毎日ハードルを乗り越え、生きている感じがするのもかなり共感できますね。
あと一回、卒業前後にインタビューを行います!現役生たちには最後の数週間を思いっきり楽しんでほしいですね。Stay safe!
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今回の現役生インタビュー、いかがでしたか?
今後も定期的にインタビューを発信して参りますので、今後取り上げてほしいテーマや現役生に聞いてほしい質問などありましたら、こちらのお問い合わせフォーム、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。