日時2023年11月12日(日)日本時間21:00~22:30
参加者現役生
・井村瞭介(イムラ・リョウスケ)、Loughborough University, Sport Business and Leadership在学(イギリス)
・重田良輔(ジュウダ・リョウスケ)、The University of Liverpool, Football Industries MBA(通称FIMBA)在学(イギリス)
・渡邉宏樹(ワタナベ・ヒロキ)、The Football Business Academy(通称FBA)在学(スイス)

SPORT GLOBAL事務局
・辻翔子(FIFPRO)オランダ在住
・椙山正弘(アジアサッカー連盟)マレーシア在住
・阿部博一(アジアサッカー連盟)マレーシア在住

企画の概要説明

SPORT GLOBAL現役生企画は、現在海外の大学院でスポーツ分野について学んでいる日本人に、入学までの経緯、大学院の授業、同級生について、そして日々の生活で気付いたことなどをインタビューしていく企画です。2ヶ月に1回程度の頻度でインタビューをしていき、卒業、そして就職までの道のりをリアルに追いかけていきます。

2020年にSPORT GLOBALのメインプロジェクトとして始まった現役生企画も今年でシーズン3 に突入。これまで日本or海外学部卒→大学院、就業→大学院など様々なキャリアを持つゲストに参加して頂き、イギリス、スペイン、アメリカ、フランスなど、複数国のスポーツマネジメント系の大学院プログラムを紹介して来ました。

シーズン3では、日本の学部卒→大学院、就業→大学院、就業+大学院という、それぞれ異なるバッググラウンドを持つ3名に参加して頂いています。FBA、FIMBA、Loughborogh大学という、今回初めて取り上げる大学院プログラムに、SPORT GLOBALメンバーも興奮を隠せません!それではシーズン3の第3回をお楽しみください。

近況報告と就職活動

登場人物A渡邉宏樹さん

前回収録時はモジュールの一環で、イギリスと上海に本社のあるエージェンシーにインターンシップとして参加していました。その後、6月末~9月末までポルトガルを中心にフランスやスイス、スペインなどでのカリキュラムが続き、ヨーロッパの様々なスタジアムを訪問しながら現地での事業説明や、WFSというカンファレンスにも参加しながらネットワーキングと、非常に有意義な時間を過ごしました。9月の最終週に帰国し、10月から日本の某コンサルティングファームのスポーツのセクションで働いています。

就職活動に関しては、もともとヨーロッパで働きたいといった志向はなく、海外のスポーツエージェンシーの東京オフィスやAPACオフィス、事業会社でスポーツのマーケティング、ブランド戦略に重きをおいている企業、コンサルティングファームのスポーツセクションへの転職を次のステップとして考えていました。その中で、代理店でのスポーツビジネスの経験が4年程度という状況下、今の経験値で海外のスポーツエージェンシーで働くよりは、総合的に考えコンサルティングファームのスポーツ、という選択をしました。

登場人物A井村瞭介さん

卒業が決まり、今はロンドンで就職活動をしています。まだ内定は貰えていませんが、当面は継続して就職活動をしていこうと思っています。卒業に必要な単位は全て取り終えて、修論を書くのが忙しい数か月間でした。最初に「0点」を取った科目の再試なども乗り越え、なんとか卒業出来ました。大学院生活は、あっという間に過ぎた一年間でした。

当初はフットボールクラブでの就職にこだわっていましたが、この※Graduate Visaが出る2年間は、社会人経験もないので、就職先にあまりこだわり過ぎず、取り敢えずスポーツ、フットボールに関わる仕事であれば何でもやるという気持ちでいます。2年後に思った通りの職に就けるようにもがいていこうと思います。

イギリスでコースを正式に修了したあとに最低2年間イギリスに滞在することができるビザ。

登場人物A重田良輔さん

ここ数ヶ月間は卒論を書いていました。就活も並行して進めており、8月頃に日本に戻って来て面接を受けていました。11月からは東京にある、サッカーのウェブマーケティングに特化している会社で働いています。就活は、57月にフットボールクラブを中心に進めていました。クラブ関係者、卒業生にも話を聞きながら、色々な場所に顔を出して機会を探しました。就活を通じて気がついたのは、日本マーケットに熟知している人材が求められていると思いました。その上で、パートナーシップ、スポンサーシップとしてかたちにしていける力があれば、Graduate Visa2年という期間だけではなく、長期的に現地クラブで重宝される存在になると思います。7月にリバプールFCのパートナーである講談社が現地に来ており、そのアクティベーションをお手伝いする機会がありました。国際的なビジネスデベロップメントを経験出来たのは大きかったです。卒業後、すくに現地のクラブに就職するのは難易度は高いと理解したので、クラブと関わりながら仕事していける会社に就職することをターゲットにしました。それが今の会社です。例えば、ブライトンFCとのプロジェクトも立ち上がりそうなので、プレミアリーグとの接点は保っていけそうです。会社の勤務体系もフレキシブルで、海外出張もしやすいです。数年経験を積んで、海外に出ていけたらと思います。

卒論に関して

登場人物A井村瞭介さん

トピックとしては、Jリーグとイングランドのサッカークラブのサステナビリティに関する取り組みを取り上げました。大学と企業がコラボレーションするプロジェクトがあり、様々な企業とトピックのリストが学生にシェアされていました。学生は好きなトピックを選び企業側にピッチをすることができ、提案内容が良ければ卒論を書く期間、共同でプロジェクトをすることができます。そもそも広く浅く学ぶスタンスで大学院プログラムを探していたので、ピンポイントで興味のあるトピックがありませんでした。なので、取り敢えずサッカークラブと共同プロジェクトが出来る、社会問題、環境問題のプロジェクトを選びました。サッカークラブがどのような施策を打ち出して、それをどう評価するのかを提案するプロジェクトでした。大学の教授、クラブの人達にインタビューをしながら卒論の内容を固めていきました。自分にとっても新しい領域だったので新鮮な学びでした。期間が限定的だったので、これだけ大きなトピックを2~3ヶ月で仕上げるのが難しかったです。具体的には、JリーグとEPLのケーススタディをPeople、Impact、Content、Contextの4つの軸をおいて比較を試みました。示唆としては、EPLのクラブの方が、クラブのアイデンティティやフィロソフィーとの紐づけが明確というところです。心残りがあるとすれば、これからJクラブがどのようにすれば良いかの部分をもう少し深めたかったです。

登場人物A渡邉宏樹さん

FBAは、卒論がグループ/4-5人で行われるプレゼンに含まれる形で、それが卒業の要件になっています。フットボールダイレクターなどのテクニカルサイドに興味がある人達と、戦略やマーケティングなど事業系に興味がある人達で大きくは分かれていました。トピックはヨーロッパのクラブ、UEFAAFCなど、FBAがパートナーシップがある組織の実際の課題を取り上げ、FBA側が設定します。自分のグループは、Kリーグの女性ファンを増やす施策を考えました。Kリーグは先日FBAパートナーシップを提携したところで、Kリーグで実際にインターンシップを行った同級生もいました。Kリーグの人達にインタビューを重ねリサーチを進め、最後のプレゼンにはKリーグ関係者ポルトガルまで来てくれました。Kリーグは、リーグのファンの平均年齢が30歳程度で、女性ファンの割合もJリーグより大きく現行のマーケティング施策全体でいうとJリーグの方が進んでいるように感じましたが、ファンのデモグラという観点では、まだまだポテンシャルのあるリーグです。

登場人物A重田良輔さん

FIMBAは卒論とワークベースが卒業要件になっています。ワークベースはボランティアベースで実施する必要があるプロジェクトです。リバプールのファンベースでインターンをしながら、リバプール財団と講談社などの組織とのやり取りなどを踏まえて、マッチデー以外にリバプールFCコミュニティを活性化する取り組みについて調べていましたが、なかなかうまくまとめる事ができず、最終的には、EPLの放映権と再分配の仕組みを卒論のテーマにしました。特に、利益再分配の仕組みがクラブ格差が広がっていく原因と課題設定をして、将来的な想定と解決策を提示しました。卒論の内容は、footballistahttps://www.footballista.jp/author/ryosuke-juda)であげているので、有料コンテンツですが、是非読んで欲しいです。

大学院プログラムを振り返って

登場人物A井村瞭介さん

学部卒で海外大学院に留学しました。準備の段階では、色んな人に話を聞いたり、自分なりに情報を整理して出来る限りリサーチしていたが、それでも現地では多くのチャレンジがありました。日々の授業や課題についていくのに必死で、当初一日一日が長く感じることもありましたが、今振り返るとあっという間だったと思います。学部卒での留学は賛否両論あると思いますが、結果的に自分はこのタイミングで留学出来て良かったと思っています。勿論、授業では社会人経験があるクラスメートのアウトプットの質が高いと感じる事もありました。また、この現役生企画でも、社会人経験のある渡邉さん、重田さんの話を聞くと、質の高い研究や学びをしていると感じていました。それでも、なんでも吸収する気持ちで授業に出れていましたし、完璧主義だった自分が、割り切る力、出来ない自分を受け入れてどう成長していくかというマインドセットを身に付けることが出来たのは大きいです。あとは、他人に期待しすぎないということも学びました。誰かが自分の事をわかってくれるまで待つのではなく、自分でアクションを起こして物事を変えていく重要性を学びました。

登場人物A渡邉宏樹さん

留学のタイミングは個々人によるものなので、早い遅いはないと思います。私の場合は、商社で働いてなければグローバルな仕事に興味を持っていなかったですし、中国での業務経験がなければ、海外での生活にチャレンジしようと考えてないと思います。また、広告代理店での経験がなければスポーツでの実務の経験もなかったので、今の仕事に就けたか分かりませんし。FBAのプログラムの理想と現実ですが、元々実務に勝る学びはないと考えていたのですが、女子サッカーやサステナビリティなど、正直今まであまり興味がなかった分野での様々な気付きは今回の留学によるもので、その学びには感謝しています。留学中あまり辛かったと感じることは無かったのですが、グループでディスカッションして即興的にプレゼンする、といった類のワークが、言語的な問題で少し厳しかったくらいですかね。FBAのプログラムは、家族が既にいるという私自身のライフステージを鑑みて、少なくとも最初の半年間は働きながら参加が可能でしたので、その点は非常に良かったと思います。

登場人物A重田良輔さん

FIMBAはクラブ、リーグ、協会関連のトピックに特化して学びます。特に良かったのは、コロナ禍、コロナ後の各クラブの対応を間近に見れたことです。タッチレスチケットの導入顧客データの蓄積マーケティングまでの流れがEPLでも徐々に出来てきたと思います。あとは、苦労はたくさんしましたが、その中でも就活が一番チャレンジでした。クラスメートは全部で26名ですが、就職先が決まっていない人が多いです。プログラムのディレクターの当たり、外れがあると言われていて、あとは、昔よりもジョブマーケットにおけるFIMBAの影響力が落ちてきているのかもしれません。現在、日本人同級生では、6人中3人がイギリスでの就職を目指して動いています。

今後留学する人にひとこと

登場人物A井村瞭介さん

進学先にはすごく悩みましたが、今振り返ると、直感的に進学先を決めてもよいと思います。自分はサッカー人生では後悔ばかりでしたが、今回留学して本当に良かったです。これから留学を考えている人は、多少足りない部分があっても、挑戦してみれば見える景色が変わるかもしれません。    

登場人物A重田良輔さん

大学名に頼りすぎないことは大事だと思います。どういう道でどういう事がしたいのか明確に描いて留学すれば、就職で動きやすくなりますし、10年ぐらいのタイムラインで考えた時、留学の価値はより増すと思います。

登場人物A渡邉宏樹さん

卒業生全員が思い描いた進路に進んでいるわけではないです。重田さんも指摘しているように、有名な大学院プログラムに参加したから就職が決まる、という訳ではないので、キャリアに関しては大学院に頼らずプロアクティブにアクションを起こし、必要に応じて大学院のリソースを活用する、ぐらいのスタンスでなければ、思った通りの仕事には辿り着けないと感じました。

SPORT GLOBALからクロージング

登場人物BSG事務局

今回でシーズン3は最終回です。修論、就活、海外大学院留学を振り返ってなど、参考になるお話をたくさん聞くことが出来ました。ポッドキャストにて、個々の留学、人生を深掘りした内容も発信していくので、是非チェックしてください。シーズン4もお楽しみに!

今後も定期的にインタビューを発信して参りますので、今後取り上げてほしいテーマや現役生に聞いてほしい質問などありましたら、こちらのお問い合わせフォーム、またはinfo@sportglobal.jpにメールをお送りください。

また海外の大学・大学院でスポーツを学んでおり、現役生企画に参加いただける方も随時募集中です。ご連絡お待ちしています。

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